milkteaのブログ

片想いの恋愛小説を書いています

モモさんの恋愛事情6


 モモさんは最近、社内のカフェでよくコーヒーを買う。今までは自宅で淹れたコーヒーをタンブラーに持って来てたのに、最近はわざわざカフェでコーヒーを買っている。

カフェのコーヒーメーカーが新しくなったのは三ヶ月以上前だ。一杯ごとに挽きたての豆でコーヒーを淹れるタイプに変わったのだ。でも、モモさんはコーヒーがとても好きで、お気に入りのカフェで購入した豆で毎朝挽きたてのコーヒーを淹れていたから、社内のカフェはほとんど利用していなかった。

それが、最近になって急に社内のカフェを利用し始めた。毎日、決まって10時と15時にコーヒーを買いに行く。そこではコンビニみたいに100円で紙カップを買った後、セルフでコーヒーメーカーにカップをセットしてボタンを押す。一度に2人が利用できる。

そして、モモさんがコーヒーを淹れている時、隣には必ずユウさんがいる。

 初めは偶然かと思った。

でも、二度、三度と続き、気になってモモさんの後を追ううちに、とうとう、毎日決まって2人並んでコーヒーを淹れていることが分かってしまった。

そして、不思議とその時間はカフェには他に人がいないのだ。


 まるで2人だけの世界にいるように見えた。


 2人の姿を目撃するのはカフェだけではなかった。

社員エントランスで、ロッカールーム付近で、階段で、何度も2人の姿を一緒に見るようになった。

 2人はいつも少し離れていて、各々電話をしていたり、何か、別々に用があってたまたま居合わせたようにも見えた。

 でも、たぶん、違う。


たぶん、今、僕が通りかかったから離れた……


 僕はモモさんが大好きだ。

モモさんの姿を目で追うだけでも、嬉しくなる。

 モモさんは僕には心を開いてくれている。

いつも、素のままのモモさんで話しかけてくれる。

口ベタで気の利いたことなんて言えない僕は、世間話もロクにできない。だから、人とは必要最小限のことしか話さない。それでも、モモさんはいつも僕に楽しそうに話しかけてくれる。僕はモモさんに話しかけてもらいたくて、モモさんのそばでウロウロしている。そして、モモさんが話しかけてくれると、嬉しくて、笑顔になる。モモさんには僕も楽しく話すことができる。

 僕はモモさんが大好きだ。

だから、モモさんにはいつも笑顔でいてほしい。

悩んだり傷ついたりしてほしくない。

できることなら、モモさんを悩ませたり傷つけたりするものから遠ざけて、僕が守ってあげたい。


 モモさんは今、悩んでいる。

モモさんは今、傷ついている。

僕には分かる。

笑顔でいても泣いているように見えてしまう。


 きっと、彼のせいだ………。

×

非ログインユーザーとして返信する