milkteaのブログ

片想いの恋愛小説を書いています

モモさんの恋愛事情4

 モモさんは天然だ。

いわゆる天然キャラではなく、正真正銘の天然なんだと僕は思う。

 モモさんは、まるで世の中に悪い人なんていないと思っているかのように、どんな人にも誰にでもいつでも笑顔だ。

 無愛想なあのコにも、気分屋なあのヒトにも、

裏表激しいあのヒトにも、どんな態度をとられても

いつも変わらずに優しい笑顔だ。

 危なかっしくて見てられない。

無防備過ぎてハラハラしてしまう。

 そいつには近づいちゃダメだ!

そんな奴にニコニコしちゃダメだ!

ダメだよ、そいつにはそんな風に優しくしては……。

 僕はいつも内心ハラハラ、時にイライラしながらモモさんを見てきた。だから、ある時気づいた。

モモさんは無防備に見えて、実はガードは堅い。

モモさんが未亡人だと知れた途端に、モモさんを遠巻きに見ていた男共が接近し始めたが、食事の誘い、ドライブ、映画、誰が何を誘っても、笑顔でまた今度、とやんわり断っているのだ。

そこには、相手のプライドを傷つけない程度に、でもハッキリとしたお断りの姿勢がある。

未亡人ということもあり、とうとう誰も誘えなくなってしまった。

 そうか、亡くなったご主人を想い続けているのか、と僕は嬉しいような悲しいような複雑な思いでいた。

 でも、モモさんをずっと見続けている僕は気づいてしまった。


 ある時から、薬指の指輪がなくなった。

そして、モモさんがあの男を見つめていることに気づくのに時間はかからなかった。

誰もいらないんじゃない。

誰かしかいらないのだ。

あの男しか見えていないのだ。


 モモさん、あの男はすごく人気のあるヤツじゃないか。妻子があるにも関わらず、モテモテのヤツじゃないか。

 モモさんは違うはずだ。

その他大勢とは、違うヒトのはずだ。

なのに、なのに、どうしてなんだ……。


 僕は初め、ひどくがっかりした。

でも、やはりモモさんは僕の想ったヒトだと気づくのに、そう時間はかからなかった。


               つづく

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