モモさんの恋愛事情7 修正版
サトル君とマユコさんの結婚を祝う会
僕とモモさんは幹事になった。
サトル君、が僕の同期で、マユコさんがモモさんを指名したのが理由だ。
モモさんが初めて僕の席に来てくれた。
いつも僕のほうがモモさんの周りでウロウロするのに、その日はモモさんが僕のそばに来てくれた。
あっきぃ、幹事頑張ろうね♪
にっこり笑って、僕に携帯番号を書いたメモをくれた。その日から僕とモモさんのLINEが始まった。
お店の予約、出欠の確認、2人へのプレゼントについて、2人にバレないように、LINEでやりとりした。
そして、結婚を祝う会は大成功だった。
サトル君もマユコさんも、泣いて喜んでくれた。
僕とモモさんは目配せし合った。
やったね♪良かったね♬♬
そんな、気持ちを目と目で共有した。
そして、今、僕の隣には酔っているモモさんが、いる。結婚を祝う会の二次会の解散後、幹事お疲れ様会をやろう、と二人だけの3次会を終えて店を出たところだった。
あっきぃ、わたしね、今、チョッピリ、悩んでいるの
モモさんがそう言ったその瞬間、僕は我慢できず、モモさんをギュっと抱きしめた。
梅雨明け宣言のあった2、3日後なのに、湿った風の吹く夜だった。夜が泣いてるみたいだ……、モモさんを抱きしめたまま、ぼんやりそんなことを思っていた。
あっきぃ、あっきぃは今、好きなヒトいる?
僕の腕の中で、酔ってフラフラなモモさんが言った。
わたしね、わからないの。
奥さまも小さな息子さんも大切なのに、
奥さま以外の人にひとめぼれしちゃうなんて
そんなヒト信用できない、プイってしたいのに
分からないの
なんでこんなに惹かれ合うの?
わたしね、結婚したから、生きてても死んでしまってても、もう他の人に恋なんてしないと、思ったのに。どうしてなの、なんで彼を好きなの
僕は何も言えなかった。
でも、モモさんを離しちゃいけない気がした。
だけど、モモさんは僕の腕の中からスルリと抜け出して、タイミングよくやってきたタクシーに滑りこむように乗り込んだ。
タクシーを覗きこむ僕に、恥ずかしそうに笑って言った。
あっきぃ、ごめんね。チョッピリ、酔っちゃった。
お疲れ様!おやすみなさい…………アリガト。
僕は何も言えなかった。
タクシーの扉がバタンと閉まった。
モモさんが僕に手を振った。
タクシーは音も無く走り出した。
僕は黙ってそれを見送った。
僕はモモさんが大好きだ。
たとえ、モモさんの心が他の誰かのものでも、
やっぱりモモさんが大好きだ。
僕はモモさんに何ができるだろう?
大好きでいつづけることしかできないだろうか?
黙ってそばにいることしかできないだろうか?
僕はモモさんが大好きだ。
たとえ、いけない恋愛をしていても、
過ちをおかしているとしても
僕はモモさんが大好きだ。
僕はモモさんに何ができるだろう………?